木もれ陽プロジェクトとは?

 この講座の課題となる「木もれ陽プロジェクト」とは、どのようなことなのか簡単にご説明します。

 講師・木村崇人さんは、「地球と遊ぶ」というコンセプトをもとに目に見えない様々な自然の力を取り入れた作品を制作しています。「地球」というスケールの大きな存在が、作品を制作するための舞台であり、インスピレーションを与えてくれる無尽蔵なエネルギーとなっています。

 具体的には、地球上で共通にみられる自然現象を活用して作品に表現していくもので、言語や文化の違いを超えてグローバルに共感できる作品となっています。特に、目に見えない自然現象を知覚化できるように変化させる過程が面白く、それを「遊び」のなかから発見していく行為そのものが木村さんの作品の特徴となっています。「遊び」は、実験、観察、発見を繰り返すことで、学習行為になっているわけですが、実験や遊びを通して肌で感じ、生きた知識になったことを蓄積し、それが創造力を生かした作品へと変貌していくのです。

 作品のスタイルは、自然を生かしたインスタレーション、インタラクティヴ(体験型作品)、パフォーマンス、ヴィデオ作品など多岐に渡ります。作品の多くは、お子さまからお年寄りまで老若男女を問わずに楽しめる分かりやすいもので、普段の生活や周囲の自然から発見した現象や原理を、ちょっとユーモラスに表現していくものです。ファミリーを大切にしている木村さんならではの優しい一面が作品にも反映されているんですね。

 日常の喧騒のなかで忘れがちな地球のありのままの姿、自然の力の大きさを感じましょう。

 さて、「木もれ陽プロジェクト」についてですが、皆さんは木陰にできるこもれびについて、観察したことはあるでしょうか?葉と葉の隙間は円くないのに、風で木が揺れてキラキラと輝くこもれびを観察してみると、全て円いことが分かります。これは、葉と葉の隙間が天然のレンズになって光を集めて、太陽の形を反転させて地面に映し出している自然現象から生まれた形だからなのです。この現象を生かした作品が「木もれ陽プロジェクト」です。

 最初はデッサンや模型、室内の小さな作品として発表されてきましたが、だんだんと規模が大きくなり、ついに本物の森を使って太陽のように大掛かりなクレーンによる高い光源を吊り上げて、「星の木もれ陽」を創るプロジェクトへ進化していったのです。

 2006年越後妻有トリエンナーレで発表された「星の木もれ陽プロジェクト」は、新潟県なかさと清津スキー場脇にある森で行われました。高さ約50mに大型クレーンを使って重さ約9000Wの光源を吊り下げるという大掛かりなものでした。木もれ陽のかたちがはっきり分かるようにするために、特製の「星取りアミ」を使って、森のなかで星型の木もれ陽を見つけ出すというものです。観客は、虫取りアミのような形の白い布の張ったアミで「☆取り」の遊びを通して星型になった木もれ陽の不思議を体験する作品になっています。

 今回の講座では、この大掛かりな「星の木もれ陽プロジェクト」を横浜で行います。実際に本プロジェクトを開催するためには、設営会場の交渉や機材や設備の準備、スケジュール管理、広報活動、観客動員、地域のひとたちへの普及活動などなど、プロジェクトを実施するためにはやらなければならないことがいっぱいです。

 アーティストと一緒に考え、行動し、これまでに味わったことのないような感動的な大きなアート体験をしましょう。

 木村崇人公式ホームページ:http://www.takahitokimura.com/